私たち人間かかかる病気の第一位は風邪です。第二位はなんだと思いますか?それは腰痛なのです。ほとんどの人は、一生のうちに少なくとも一度は腰痛を経験するといわれるほどで、整形外科を訪れる患者さんの三○〜五○パーセントは腰の痛みを訴える人です。筆者が勤める病院にも、ちょっとした動作がもとで腰痛を起こした患者さんがたくさん訪れます。

腰の痛みといってもその性質はさまざまで、歩くこともできないような強い痛みもあれば、何となく痛いといった弱い痛みもあります。あるいは、針を刺されたような痛み、焼けるような痛み、ヒリヒリするような痛みなどを感じる場合もあり、このような腰痛を起こす原因もさまざまです。筋肉の使いすぎによって起こった腰痛なら、その筋肉の疲労がとれれば、腰痛もなくなるので問題はありません。
しかし、腰の痛みとともに、足の痛みやしびれが出たり、足の筋肉が麻癖したり、尿が出にくくなったりする人がいます。ある距離を歩くと腰が痛くなり、ひと休みすると痛みがとれて、またしばらく歩くことができるという人もいます。出た症状は腰痛だけであっても、その裏に何か重大な病気が隠れているかもしれません。特に腰の痛みが一〜二週間も続くときは要注意です。「病気じゃないから」と軽視しないですぐに専門の整形外科病院で診てもらうようにしてください。
肩こりも私たち日本人に多い症状の一つで、主な原因は一肩の筋肉の疲労ですが、時には肩の神経や動脈が圧迫さ
れて、肩こりが起こることもあるので、腰痛と同じように長く続く場合は、やはり整形外科で受診することをお勧
めします。

腰痛や肩こりはなぜ、どのような仕組みで起こるのかを掘り下げて説明しているサイトはほとんどありません。腰痛や肩こりについて現在までにほぼ明らかになっていることについて、新しい情報も含めて紹介していこうと思います。そのためには正常な背ぼねの成り立ちについての基本的な知識にも触れることにします。

また、正しい姿勢、よい姿勢とはどのような姿勢なのかについても、たびたび触れるようにしました。多くの人が経験する腰痛や肩こりは、立っているときや座っているとき、仕事をしているときの姿勢が、重い頭と上体を支える人間の背ぼねと筋肉の作りからみて、適切でないことによって起こる場合が多く、正しい姿勢をとれば、ほとんどの腰痛や肩こりは解消するとわたしは考えているからです。
このような基本的な知識があれば、たまたまかかった腰痛や肩こりにどう対応し、どうつきあっていけばよいのか、腰痛や肩こりが出ないようにするのにはどうすればよいのかといったことがおわかりになると思います。腰痛や肩こりは若い人もかかりますが、やはり多いのは中高年の人です。どんなに優れた機械でも長く使っていれば、すり減ったり金属疲労が起こったりして“ポンコッ化”するのと同じように、人間の背ぼねやそれを支える筋肉も、年齢とともに弱って腰痛や一眉こりにかかりやすくなってきます。特に腰痛は、日本のように高齢化が急速に進む国では、誰もがかかる国民病ともいえるものになりつつあり、今は腰痛と無縁と考えておられる読者も、災難はいつやってくるかわからないのです。腰痛にならないためにも、私たちの体の支柱である背ぼねについての理解を深めていただければ幸いです。
そして、不幸にして腰痛や肩こりに悩んでいる人々の日常生活の心得や、治療上の参考になることを心から願って
います。